11月11日『牛窓ファンライド』
2017-11-13 12:05
瀬戸内にたゆたう優しい時間
ー"虫明の迫門の曙見る折ぞ都のことも忘られにけり"これは平安時代に平清盛の父である平忠盛が、瀬戸内海からのぼる虫明迫門の曙をみて詠んだ歌である。
それほど昔から瀬戸内の自然は人々を魅了し、心を動かしてきた。
平成が終わろうとしている今、時代は変われどそこにはぼくらを包むやさしい時間が流れていた。
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前夜に降った雨のせいか、11月だというのに朝の空気は冷たく乾いていた。
この日、チクリ・ピオニエーレのファンライドイベントに参加するために西大寺に集まったのは6名。
参加者は自転車歴の長いメンバーから自転車にあまり乗り慣れていないメンバーまで様々だ。
自転車で走ると地域との距離が近くなり、新しい出会いがある。
すみ慣れた岡山にもまだ知らない、素敵な場所がたくさんあるんだと感じさせられる。
パンを食べてひと休みしてから、一路牛窓へと向かう。
ロードサイクリングの魅力として、初心者から上級者までが一つのパーティーとして体験を共有することができる点がある。
レベルの差があっても走り慣れているメンバーが風を受けることで、初心者のメンバーは後ろについて一緒に走ることができる。ピオニエーレのファンライドイベントでは後方からのサポートも行うので、バラけることなく心地よいペースで集団が進んでゆく。
牛窓の地形は独特で、海のすぐ側まで丘陵地が続く。
山の中を走っていると突然海が現れるため、一気に進んだかのような錯覚を覚える。
緩やかな丘陵地にひろがるオリーブ畑と青い海にうかぶ島々が日本のエーゲ海と言われる所以だ。
あたたかい光に包まれて、ゆったりと静かな時間を感じられるのが牛窓の良さ。
港に向かって走ると、石窯ピザの店「MUNCH'S」がある。
今年オープンしたばかりで、牛窓で生産が盛んなマッシュルームやオリーブなどの地元食材を使ったピザが楽しめる。
五感を最大限に生かして地域に触れることができるのは生活とスポーツが交わる点に位置するサイクリングならでは。
あいにく店内の写真はweb利用NGということなので、ぜひ足を運んで自分の目で確かめてもらいたい。
ピザを食べた後は海沿いに走り、帰路につく。
何もしない休日も確かに楽しい。家でのんびりくつろぐ時間に幸せを感じたりする。
でも心のどこかで、何かしたい、知りたい、感じたいという小さな声が聞こえる。
そんな小さな自分の声に耳を傾け、自転車で走りだせばそこには知らない世界が広がっている。
好奇心に素直になる。
これからもピオニエーレファンライドではサイクリストの皆さんにそんなきっかけを提供できたらと思う。
次はどこへ行こうか。まだ見ぬ岡山へと思いを馳せながら家路へと自転車を走らせるのであった。
おしまい
企画・引率:藤原
写真・文章:萬谷
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